2011-10-14から1日間の記事一覧

小説27 熊井3

私は夕暮れの道場で、黙々と左右の拳を交互に前に突き出していた。空手の基本中の基本、正拳突きの型だ。いつも考えたくないことがあるとき、私はこうしていた。この時間だけは無心になれるからだ。しかし今回はそういう風にはいかなかった。頭の中ではつい…