長編小説

小説35 菅谷6

すごい!!!すごい!!すごい!! 私は自分の部屋のベッドの上で、今日起こった出来事を思い返しながら、興奮していた。 ダンシング部に入ってくれる人がいたよ!!それもいっぺんに5人も!!いやぁ〜、こんなことってあるんだねぇ。えっと、こういうのって、なんて言…

小説34 熊井4

昼休み、私はいつもどおり自分の席で食事をしていた。いつもと違うのは、周りに人がいないということ。いつもは授業が終わるたびに、私の周りに集まってくる矢口たちだが、今日は一切近づいてはこなかった。朝、教室に入った時に目があったが、恨めしそうな…

小説33 嗣永5

昼休み、私は自分の席でお弁当を食べていた。クラスの子達は男子も女子も2、3人のグループになって食事をしているが、私はいつも一人で食べることにしている。レベルの低い会話をしながら食事をするなんて馬鹿馬鹿しいし、お弁当もまずくなるからだ。私以…

小説32 須藤5

はぁ・・・。 昼休み、私は自分の意気地のなさにあきれていた。今日の朝、私はHRが終わると、昨日決心したとおり転入生に声をかけた。確かに声はかけた・・・が、目的は果たせなかった。 「―――私、ダンシング部に入りたい―――」 たったそれだけのことなのに・…

小説31 夏焼5

昼休み、私が教室に入ると、清水は教室で弁当を食べていた。今日は矢口たちにパシらされてないようだ。 ふふん、まあ私が昨日ガツンと言ってやったからね。 一人そう満足してから気づいたことがあった。清水は机を隣の席の奴とくっつけて弁当を食べている。 …

小説30 清水5

私は4時間目が終わると、いつもどおりメモの準備をして、矢口さんたちが来るのに備えた。しかし矢口さんたちは、私のところには来ず、教室を出て行った。 あれ、なんでだろ? とにかく今日は購買へ行かなくていいみたいなので、私はカバンからお弁当を取り出…

小説29 徳永5

1時間目の授業中、私は次の科目のことを考えて憂鬱になっていた。次の科目とは体育だ。別に体を動かすのが嫌いなわけではない。教室の椅子に座って、ジッとしてるよりかは体を動かしているほうが全然いい。私が憂鬱になる理由は体育の授業でやる内容のためだ…

小説28 菅谷5

「やばいよやばいよやばいよやばいよーーー!!」 私は三日連続で朝寝坊をしてしまった。 もうホントありえないよね。ん?でも二度あることは三度あるのか・・・。じゃあ、しょうがないかな?うん、昔の偉い人がそう言ったんだから、しょうがないよね〜。にして…

小説27 熊井3

私は夕暮れの道場で、黙々と左右の拳を交互に前に突き出していた。空手の基本中の基本、正拳突きの型だ。いつも考えたくないことがあるとき、私はこうしていた。この時間だけは無心になれるからだ。しかし今回はそういう風にはいかなかった。頭の中ではつい…

小説26 夏焼4

放課後、私は屋上で一人、昼間のことを思い出していた。清水に言った、あの言葉を。 「夏焼さん、ありがとう」 私の言葉を聞いた清水はそれだけ言うと、その後はずっと泣いていた。別に感謝されるようなことは言ってない。思ったことを口にしただけだ。 それ…

小説25 清水4

放課後、今日は私も矢口さんたちも掃除当番に当たっていなかったので、私は6時間目が終わると、真っ直ぐに帰宅した。 「ただいま・・・」 「おかえりー!!す〜ぐ、ごはんにするからね」 「はーい・・・」 私はお母さんにそう返事をしてから、自分の部屋で着替…

小説24 須藤4

下校の途中、私は今日も昨日と同じコンビニへと立ち寄り、雑誌コーナーへと真っ直ぐ向かった。しかし今日はマンガの発売日ではない。今日の目的は他にあった。私は昨日雑誌コーナーで立ち読みした雑誌をもう一度手に取る。ページを捲り、アイドルユニット『℃…

小説23 嗣永4

放課後、私は手紙の指示通り体育館裏にいた。そこには誰もいなかった。しばらくすると先輩ではなく、数人の女子生徒がやってくる。昨日体育館の中でキャーキャーと騒いでいたバカ女達だった。バカ女達は全員にやにやと笑っていて、私の前まで来ると声をかけ…

小説22 徳永4

放課後、私はいつものように保健室にいた。室内に二つある内の奥側のベッドにカーテンを閉めて寝転んでいた。と言っても別に体調が悪いわけではない。私がここにいる理由は放課後、この保健室が生徒の悩み相談室になるからだ。その間、私はここに隠れて、先…

小説21 菅谷4

「あぅ〜〜・・・」 放課後、私は落ち込んでいた。ダンシング部の部員が一人も集まらなかったことにもだけど、それよりも昨日の夜、一生懸命書いたポスターの字がおかしいと言われたことにかなり落ち込んでいた。私は机の上にポスターを広げ、問題の箇所を見…

小説20 熊井2

私は自分の席で昨日とは違い、いつもの『焼きそばランド』を食べていた。 ・・・うん、やはり私はこれじゃないとな。 そう思いながら私は朝の出来事を思い返していた。 朝、いつものように登校すると、校門前で大きな紙を持った転入生が「部活やりませんかー…

小説19 夏焼3

私は昨日と同じく昼休みに登校した。ブラブラと廊下を歩いていると、向こう側から走ってくる清水と出くわしたので声をかける。 「おう、どーした?そんなに慌てて」 「あっ、夏焼さん。うん、ちょっとね・・・」 清水はなにか言いにくそうにそう言ったので私…

小説18 清水3

授業中、私は昨日の放課後のことを思い出していた。始めはぎこちなかったけど、私がタバコを吸うのを見て、なにやら私の吸い方が映画俳優とそっくりだとかで、夏焼さんが大笑いしたのをきっかけに、私たちは徐々に打ち解けていった。夏焼さんはみんなから怖…

小説17 須藤3

私は今日もいつものように、一番乗りで教室に来て、自分の席に座り、本を読んでいた。でも別に学校が好きだから早く来ているわけではない。むしろ学校は嫌いだ。理由は人が多いから。昔から人の多いところは苦手だ。でも今は教室には私しかいないから、とて…

小説16 嗣永3

「・・・なに、あれ?」 朝、学校に来ると校門前で『すがさこ』が妙なことをやっていた。生徒一人一人に「部活やりませんかー」と言っている。私が通りかかった時も、同じ言葉をかけた後、気づいたように「あっ、同じクラスの子だよね?」と、言ってきた。 足…

小説15 徳永3

「ふぁ〜ぁ・・・」 眠たいなぁ・・・ 私はいつもどおりの通学路を、あくびしつつ歩いていた。角を曲がって後数十メートルも歩けば校門にたどり着く。 ああ、今日も地獄のような一日が始まるのか・・・。まあ眠ればすぐか・・・。 私はあくびをもう一つしな…

小説14 菅谷3

「やばいやばいやばいやばいーーーっ!!」 私は二日連続で朝寝坊をしてしまった。 昨日遅くまでやることがあって起きてたからなぁ・・・。 「もうっ、お母さーん!!ちゃんと起こしてよー!!」 私は自分の部屋から大声でそう叫んだ。しかし返事は無い。ただの屍…

小説13 夏焼2

私は昼休みの出来事の後、屋上でずっと眠っていた。 「ふぁ〜あ・・・」 気がついたときには太陽がだいぶ傾いていた。私は立ち上がり、屋上の柵にもたれかかるようにして景色を眺める。ここからの眺めが私は好きだった。景色を眺めながらポケットに手を入れ…

小説12 清水2

時計の針は午後5時を過ぎていた。私はいつもどおり、矢口さんたちに掃除当番を押し付けられ、一人で教室の掃除をしていた。 「ふう、やっと終わった・・・。後は黒板消しをはたくだけか」 私は独り言を言ってから、表面が白や赤や黄色が混じった、なんともい…

小説11 須藤2

私は学校から帰る途中、コンビニへと立ち寄った。普段はまっすぐと家に帰るのだが、今日は毎週購読しているマンガの発売日だったからだ。 『キッド様』は今回どんな活躍をするかな〜♪ 若干ハイテンションで雑誌コーナーに置いてある、目当てのマンガを手に取…

小説10 嗣永2

放課後、私は体育館の中にいた。目的はもちろんバスケット部の吉澤先輩。体育館の中には同じ目的であろう女子が数人いて、吉澤先輩が何かアクションを起こすたびに、キャーキャーと黄色い声を上げている。 ・・・よく恥ずかしげも無く、そんなことができるも…

小説9 徳永2

だぁ〜、やっと終わった〜〜〜。 6時間目のチャイムが鳴ると同時に、私は座ったまま、机に倒れこむように体を投げ出して目を閉じた。 はぁ・・・、授業ってなんでこんなに長いんだろ。ホント疲れるよ。ゆとり教育なんて大人はいうけど、全然そんなこと無いよ…

小説8 菅谷2

うぅ、お腹すいたなぁ・・・。 私はそう思いながら、自分のお腹をさする。今、授業は6時間目の終わりにさしかかっている。なんでこんなにお腹が減っているのか?答えはとっても簡単。私はお昼ご飯を食べ損ねたからだ。緊張の自己紹介が終わって気が抜けたのか…

小説7 熊井1

やはり足りないな・・・。 私は約30秒ほどで完食してしまった焼きそばパンのビニール袋を見つめながら、フウッと小さくため息をついた。周りには数人の仲間がペラペラと喋りながら食事をしている。人間、口は一つしかないのに、よくもまあ器用に出来るものだ…

小説6 夏焼1

「あーかったるい。なんかイライラするし」 私はそんな風にぼやきながら、学校まで後50メートルほどの道をブラブラと歩く。携帯で時刻を見ると、すでに12時を大きく過ぎていた。 大遅刻ってやつだ。でもそんなのは関係ない。これは私にとっていつものこと。…