小説14 菅谷3

「やばいやばいやばいやばいーーーっ!!」
私は二日連続で朝寝坊をしてしまった。
昨日遅くまでやることがあって起きてたからなぁ・・・。
「もうっ、お母さーん!!ちゃんと起こしてよー!!」
私は自分の部屋から大声でそう叫んだ。しかし返事は無い。ただの屍のようだ・・・。
・・・って、お母さん死んじゃった!!いやいや、たぶん聞こえてないだけなんだけどね。
私は一人、そんなノリツッコミをしながらバタバタと身支度を整える。
「カバンよし!!制服よし!!髪形よし!!うん、私かわいいぞ!!」
鏡の前でポーズをとってから部屋のドアに手をかけたところで私は忘れ物に気づき、慌てて机の上に目をやる。そこには紙袋が置いてある。
あぶないあぶない、これは絶対忘れちゃ行けないよね〜。
私はそれを手に持つと、勢いよく部屋のドアを開け、そのまま家を出た。もちろん「行ってきまーす!!」と、元気よく言って。




あー疲れた・・・。
私は校門前にたどり着いた。時計を見ると、まだHRまで少し時間もある。昨日よりは早めに到着したので多くの生徒が登校中だった。
「よ〜しっ!!」
私はそう気合を入れ、紙袋から丸められている一枚の大きな紙を取り出し、それを両手で広げた。紙には『ダンシング部部員募集!!』と大きな文字で書かれている。昨日遅くまでやることがあったというのは、これを作っていたのだ。製作時間は約4時間。たったこれだけの文字を書くのに、なんでそんなにかかったのって思うだろうけど、どうしてかっていうと、文字だけでなく絵を書いたからだ。女の子がかわいい服を着て、楽しそうに踊っている絵だ。
うん、時間はかかったけど、なかなかよく書けてるよね。
私は軽く自画自賛してから、深呼吸を一つして、大きな声でこう言う。
「皆さーん!!部活やりませんかー!!」