小説28 菅谷5

「やばいよやばいよやばいよやばいよーーー!!」
私は三日連続で朝寝坊をしてしまった。
もうホントありえないよね。ん?でも二度あることは三度あるのか・・・。じゃあ、しょうがないかな?うん、昔の偉い人がそう言ったんだから、しょうがないよね〜。にしてもなんでこんなことわざ作ったんだろ?もしかして、このことわざを作った人も案外、私とおんなじ経験してたりして?
ここで私は閃いたように、手をポンと叩く。
おぉっ!!ということは、私も偉い人になれる素質ありってことかも!!・・・まあ誰がいつ言ったかなんて、まったく知らないけどさ。・・・って、そんなこと考えてる場合じゃない!!
私はうっかり手が止まっていたことに気付き、バタバタと身支度を再開する。
「カバンよしっ!!制服よしっ!!髪形よしっ!!うん、私かわいいぞ!!」
って、ポーズ取ってる暇も無いや。今日はホントにやばい〜!!




「うぅ〜・・・」
朝のHR中、私は教室の自分の席でガックリと落ち込んでいた。遅刻こそはしなかったものの、校門前にたどり着いたときには、すでにHRの1分前だった。当然あたりに人はいない。つまり今日も行う予定だったダンシング部の勧誘は出来ずじまいだということだ。
あ〜あぁ、せっかく新しくポスター書き直したのになぁ。
そんなことを考えているとHRが終わり、後ろの席の須藤さんから「ねぇ」と声をかけられた。私は落ち込んでいるのを隠そうともせず振り向く。
「今日は勧誘しなかったの?」
「うん、そうなんだぁ・・・」
「・・・もしかして、もう人が沢山来たから?」
「ううん。今日もするつもりだったんだけど寝坊しちゃって・・・。部員はまだ一人も・・・」
私はそう言って、ガックリとうなだれる。
「あーあ、誰か入ってくれないかなぁ」
「あ、あのさ・・・」
須藤さんはそこから先の言葉をなかなか言わなかった。
「なーに?」
「・・・いや、やっぱりいいや」
須藤さんはそう言うと、なんだかバツが悪そうにして窓のほうへ向いてしまった。
うーん、どうしたんだろ?
そこでチャイムが鳴ったので私は前を向いた。