小説21 菅谷4

「あぅ〜〜・・・」
放課後、私は落ち込んでいた。ダンシング部の部員が一人も集まらなかったことにもだけど、それよりも昨日の夜、一生懸命書いたポスターの字がおかしいと言われたことにかなり落ち込んでいた。私は机の上にポスターを広げ、問題の箇所を見る。
『ン』って書いてるつもりなんだけどなぁ。・・・でもよく見ると確かに『ソ』のほうが近いかも。
「ヤダもう、あたし自分嫌い・・・」
私はそう言って、ため息をついた。この事を教えてくれたのは昨日、職員室の場所を教えてくれた、身長のおっきい子―――。
―――じゃなくて熊井さん。・・・大人っぽいからてっきり先輩かと思ってたけど同学年なんだよね〜。しかも同じクラス。
私がそのことに気付いたのは、昨日の放課後のことだった。
一日同じクラスにいたのに気づかないのは失礼かも。まあ、ほとんど寝てたんだけど・・・。
そんなことを考えていると、教室の掃除が始まったので、私は広げたポスターを丸めて紙袋に入れ、カバンを持ち教室から出る。廊下を歩きながら、朝に自分がやったのことを思い出す。
・・・にしても、今日の行動はちょっと無理があったかなぁ?まあちょっと声をかけただけで、どんどん人が集まってくるなんて、そんなにうまくいくわけないもんね。それにまだ一日目だ。大丈夫、きっとできる。うん、がんばれ私!!
「・・・とりあえずポスターは書き直したほうがいいよね」
そう言って、私は家路についた。